父の日にアルコール飲料を贈る、この様な風潮はいつ頃からでしょうか。
世のお父さん方の大半は歓迎するかも知れません。
というより今では、
「父の日を覚えていてくれて有り難う!」的な感じが強いかも。
昭和の頑固親父衆にしてみれば、「父親の権威も落ちたもんだ」
なんて嘆く姿も目に浮かびますが。
とはいえ、親に感謝する気持ちが有ればそれが一番だと思います。
ここ数年、父の日に日本酒を贈る方が急増しています。
ビールじゃなくて、何故か日本酒なのです。
というのも昨今のブームも手伝い、諸外国でも日本酒の品質や旨さが認められ、
ワインをも凌ぐ人気となっている国も有る位ですから。
ここからは、日本が世界に誇る「SAKE」日本酒の魅力をご紹介していきます。
今夜は日本酒で乾杯!
日本酒の種類とそれぞれの特徴
まず「日本酒」とは何なのか。
国税庁が定める酒税法により決定され、
本当に簡単に言うと「米と米麹を原料で発酵させ、原酒と酒粕に分けたアルコール22度以下の酒」
を日本酒と言います。
原酒と酒粕に分けない酒は、どぶろくと呼ばれ違反となりますのでご注意を。
多少付け加えますが、一般的な酒は発酵終了後のアルコール度数は19度位で、
山吹色という感じで薄い色が付いています。
そのままだとアルコール度数が高すぎるので加水したり、
見栄えを良くする(他の意味も有る酒も)ために濾過する酒がほとんどです。
そのままで加水しない酒を「原酒(げんしゅ)」と言い、
濾過しない酒を「無濾過(むろか)」と言います。
また多少の炭酸も残っている場合もあり、
そのまま「発泡清酒(はっぽうせいしゅ)」と呼ぶ酒も有ります。
「その様な日本酒ですが、何を基準に選べば良いの?」
以下に簡単に日本酒の種類と、特徴等を紹介しますので参考にしてください。
※主原料には当然「水」は不可欠ですので、敢えて表記しません。
『1.普通酒(ふつうしゅ)』:大手メーカー始め一部の地酒の蔵も主力販売してる一般的な酒ですが、
ラベル等に「普通酒」なる表記は有りませんのでご注意を。その判別方法は後ほど。
・特徴:原材料に米、米麹、醸造アルコールを使用しており、多少アルコールの匂いがきつい酒もあります。
一時期では、そのほかに「糖類」や「酸味料」等を添加して、増量させていた酒も有りました。
ここ数年で添加物を使用しない酒が多くなりましたが、残っている酒も有ります。
『2.本醸造酒(ほんじょうぞうしゅ)』:普通酒より高品質版という酒で、華やかな香りのする酒も有り、
価格も普通酒より高めの酒が多いです。こちらはラベルに表記されている場合が多いです。
・特徴:原材料は普通酒と同様ですが、醸造アルコールの添加量が普通酒よりはるかに少なく、
当然糖類等も使用していません。また米を70%以下まで磨きます。(精米歩合と言います)
冷やしても良いですし、燗酒(温めた酒)にする事で味わい深くなる酒も有ります。
『3.純米酒(じゅんまいしゅ)』:今やこの純米酒しか造らない酒蔵も有るほどで、
日本酒本来の造りと言われる酒です。混ぜ物の無い無添加の酒です。
・特徴:原材料は文字の如く、米、米麹のみとなります。冷や酒から熱燗まで、とても幅広い味わいの酒質が有り、
それこそ日本酒好きにはヨダレが出るほどの銘酒が多々有りますよ。
※最近発売されている「米だけの酒」を純米酒と勘違いする人も居ますが、
製法品質上では「純米酒」でなく、「醸造アルコール添加のない酒」となります。
米の製造国、米の状態、精米歩合等の理由で純米酒と名乗れないのです。
『4.吟醸酒(ぎんじょうしゅ)』:この酒は昭和の後半辺りから広く認知されてきた酒で、
最近では女性や日本酒の苦手な人にもファンが多い酒です。
・特徴:原材料はやはり普通酒や本醸造酒と同様ですが、醸造アルコールの添加が極めて少量で、
スッキリとした口当たり、飲み易さは一番だと思います。
米を60%以下まで磨いて(吟醸酒の決まり)米の雑味を取り除くため、
果実の様(いわゆるフルーティー)な香りの酒も多々有り、
目出度い席等での乾杯用にも適している酒ですね。価格は高めの酒が多いです。
因みに、米を50%以下まで磨いた吟醸酒を「大吟醸酒(だいぎんじょうしゅ)」と呼びます。
ここでラベルの見方について。
普通酒にはラベルに普通酒と表記はないと言いましたが、ではどこで判断するの?
それは「原材料」の欄を見てください。必ず表記しなければなりません。
水は不可欠なので記載は有りません。「米」「米麹」までなら純米酒。(米だけの酒は除く)
プラス「醸造アルコール」と有れば、「普通酒」「本醸造酒」「吟醸酒」となります。
はあ?じゃあ3種類の違いは?そこはラベルへの表記となります。
普通酒以外は、9割以上「本醸造(酒)」「吟醸(酒)」と記載されています。
文字に大小は有るかも知れませんが、まれに無い場合は店の人に聞いてください。
(「結局そこなんだ!」と言わないでくださいね。)
面白い酒として「古酒」という特殊な酒も有り、
その名の通り数年から数十年、貯蔵熟成させた貴重な酒でも有ります。
香りや味わいがワインや紹興酒の様という人も居て、価格も驚く酒も有ります。
何故日本酒が喜ばれるのか
日本酒ではなく焼酎だってブームだし、プレミア物も一杯有るでしょ。
そう言う人も多く居るのも事実です。
日本酒という酒は、焼酎よりも遙か昔からの歴史が有り、
ほぼ日本全国で造られている酒です。
水、風土、気候、様々な条件の違いにより、驚くほど香りや味わいに違いが出ます。
勿論造り手による違いも有りますが、その土地で造られた米、採れる(湧く)水が大きく影響されます。
また何といっても「様々な温度帯」で楽しむ事が出来る「醸造酒」なのです。
これが日本酒の一番の特徴で、焼酎とは一線を画すところかも知れません。
日本酒の種類は大きく分けて4種類と言いましたが、
少し違う名称で表記されている酒も有るので、是非参考にしてください。
〇例1.純米酒+吟醸酒=『純米吟醸酒』
こちらは純米酒の原材料のみで、吟醸造り(吟醸酒を造る工程)で醸し出された酒。
(個人的に一番好きな酒です)
吟醸造りとは、米を精米する際に4割を糠(ぬか)として磨き、低温で造る製法です。
ラベル等で「精米歩合60%」と記載されていれば、これに該当します。
それ以下の55%や50%の酒(大吟醸酒)も有ります。
仮に精米歩合が半分の50%(以下のも)となれば、純米大吟醸酒というとても贅沢な酒になります。
今では入手困難の「獺祭(だっさい)」は、この純米大吟醸酒しか造っていません。
〇例2.本醸造酒の精米歩合が60%以下=『特別本醸造酒』
これは本醸造酒の贅沢版と言え、香りや味わいが普通の本醸造酒より優れている酒。
日本酒の好きな人は純米酒同様、このクラスを好む人も多いですね。
他にも紹介する箇所として説明します。
通常日本酒は濾過した後、火入れ殺菌を行い貯蔵されますが、
全ての種類において「生酒(なまざけ)」「生貯蔵酒(なまちょぞうしゅ)」
「生詰酒(なまづめしゅ)」という酒が有ります。以下参照してください。
・一回も火入れ殺菌をせず出荷した酒を「生酒」(生生とも言う蔵も有り)
・一回も火入れせず生のまま貯蔵し、出荷時に火入れ殺菌し他酒を「生貯蔵酒」
・一回火入れ殺菌をして貯蔵し、出荷時はそのままの酒を「生詰酒」
ラベルや瓶に記載されている酒がほとんどなので、判断出来ると思います。
例として「本醸造生貯(ほんじょうぞうなまちょ)」
「純米吟醸無濾過生詰(じゅんまいぎんじょうむろかなまづめ)」
なんて複雑且つ長い名称の酒も有ります。
《ここで各種類のお勧めの料理等を》
(ここからは独断と偏見ですので、蔵元には全く他意はありません)
・普通酒:ある意味万能酒ですから、お好みの料理で良いですね。温度も冷やから燗酒まで。
日本酒初心者の方やアルコール飲料が苦手な方は控えた方が良いと思います。
・本醸造酒:冷やしたり常温位で、生の魚介類との相性は抜群です。燗酒では鍋料理や煮物料理とも。
ある程度日本酒に慣れた人や、好きな人、スッキリした飲み口が欲しい時など。
・純米酒:この酒も普通酒同様に万能型だと思います。常温位から熱燗まで様々なシーンに合いますから。
日本酒好きな人は当然、初心者や苦手な人にも合う酒も有ります。
・吟醸酒:全般に冷やして、和洋中の軽めの味わいに相性は良いです。燗酒では多少こってり系で。
日本酒初心者は勿論、何も考えずにスーッと飲みたい気分の時や、乾杯酒に最適です。
日本酒の効能など
当然アルコール飲料なので、飲み過ぎはいけません。
例えば純米酒を毎日1合(180ml)~2合飲めば薬になるとも言われています。
納豆や発酵食品同様、麹が肝なんですよね。発酵食品の一種でもありますので。
風邪など引いた時には、「薬を飲むなら生酒を飲め。」という格言?が有る位です。
生酒は酵母が生きているので、身体に良いと言われています。
違った使用法で、過去にちょっと有名な話しが有ります。
昭和時代、中日ドラゴンズというプロ野球チームで、選手として大活躍した選手に
矢沢健一という名球会入りした選手がいました。
入団1年目から活躍し新人王を獲得、数年後には首位打者と、球団を代表する中心選手でした。
ですが、持病でもあったアキレス腱痛が悪化し、2軍落ちするなど低迷した時期も。
その時になんと!日本酒療法なる治療法で復活したのです。
酒マッサージの創始者と出会い、患部に日本酒を塗りマッサージする、という療法で続けた末に回復したのです。
その後にも首位打者を獲得し、引退した現在も解説者として活躍されています。
矢沢氏の次女の娘さんも酒マッサージ師になり、活躍しています。
大手メーカーからは、米ぬかを原料にした化粧品も発売されている位、
日本酒関連の健康法や美容には一目おかれています。
酒蔵の杜氏(とうじ・酒造責任者)の手はすべすべして綺麗というのも、
日本酒業界では当然の様に知られています。
お勧めの日本酒銘柄5選
ここでは敢えて順位を付けずに紹介します。
また、酒の種類(純米、吟醸等)は記載しません。
『獺祭(だっさい)』:山口県・旭酒造
・今やプレミア価格の獺祭。造られる全量が純米大吟醸酒という高品質酒。
『十四代(じゅうよんだい)』:山形県・高木酒造
・これもプレミア価格の幻の酒。購入出来る人はラッキーかも。
『浦霞(うらかすみ)』:宮城県・株式会社 佐浦
・この蔵の酒は、本醸造酒から大吟醸酒まで、とてもレベルの高い酒質の物ばかりです。
『磯自慢(いそじまん)』:静岡県・磯自慢酒造
・静岡県は吟醸酒の酒質に評価の高い蔵が多く、この磯自慢も同様です。
『菊水(きくすい)』:新潟県・菊水酒造
・菊水のふなぐち、というアルミ缶に入った酒は発売当初驚きました。
ここでは紹介しきれませんが、この他にも手頃な価格で美味い日本酒はたくさん有ります。
自分の好みの味や香りを、好みの温度で楽しんでください。
以上の様に焼酎や他のアルコール飲料には無い、複雑でいて興味深い魅力が日本酒には一杯有ります。
珍しい酒、応援したい県の酒、変わった瓶の酒等、色々な要素で探してみて、父の日のプレゼントに。
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