イノシシ対策。意外な生態?遭遇しないためには?遭遇したら?


2019年の干支はイノシシですが、干支以上に話題になっている事象があります。
田舎だけではなく都市部でも街中に出没し、人や作物などに影響を与える等の出来事です。

作物は判るけど、人間に危害を加えるの?と思う方も居るでしょう。
やはり「野生の動物」というと、人間は敵と見なすのかも知れません。
滅多に人前には現れないと思っていましたが、何らかの理由で姿を見せる様になったのではないでしょうか。

そもそもイノシシの事を、我々人間はどこまで知っているでしょう。
人に危害を与えるということは、「熊みたいに襲って来たりするのか」とか、
「餌だけを食べに人前に姿を現すのか」とか、今までは特に考えた事は無かったように思います。

そりゃそうです、イノシシが自分の目の前に現れるなんて、普段の生活からは考えられない事ですから。
ですが、自然災害も今は何が起こるか判らない時代ですので、大袈裟かも知れませんが、
野生動物に対してもそれなりの対応をしないと、身の安全を確保出来ないと思います。

しっかりした知識と知恵を持っていれば、恐れることはないと思いますので、
そのためにもイノシシの知られざる世界を、少しづつ解明していきましょう。

イノシシの特徴

イノシシと人間の関係性

これまではイノシシを、山奥に行ってもあまり見ることはありませんでした。
ところが最近では、毎晩山から下りてきて、畑などで農作物を荒らされている地域が多くなりました。
今まではこの様な現象は余り有りませんでしたが、皆さんはイノシシが山に棲む動物だと思っていませんか?
今でこそ山から下りる、という表現になりますが元々は平地に棲む動物だったのです。

狩猟生活が盛んな時代から、野生動物の生息地点(捕獲地点)と地形の起伏量との関係を図で示した書物が有ります。
その中で山奥には「熊、ニホンカモシカ」が、山里近くには「シカ」が、
さらに平坦な丘陵地ともいえる地域にイノシシが棲んでいたのです。

人間も元々は真っ平らな場所より、適度に起伏の有る場所が住みやすいようで、
人間にとって住みやすい場所は、イノシシをはじめ多くの動物も「住みやすい」と言えるのではないでしょうか。
また「野生動物は山で生活するのが本来の姿だという、人間の思い込みを改める必要が有る」とも、
その書物の中では言っています。

活動する時間帯も夜行性を示されますが、人間を警戒する必要のないところでは、昼間に活動しています。
研究者の中には「イノシシが夜行性を示すのは、人間の活動する二次的な習性ではないか」と言う人も多いそうです。
その辺りは素人の我々には何ともいえないのが実情ですね。

今後、人間の活動が低くなると、昼間に堂々と田畑へ出没するイノシシが増えるかも知れません。
ただイノシシは、周りの環境に応じて柔軟に活動パターンを変える、と見た方が良いともいわれます。

イノシシの散歩

イノシシとクジラは同じ仲間だった?

「イノシシ」とは、学術的にいえば、「鯨偶蹄目(くじらぐうていもく)イノシシ科」の1種となっています。
ここで、何の事だろ?という言葉が出てきましたので、少し解説します。

「鯨偶蹄目」とは、ほ乳類の分類の一種であり、旧来はシカやラクダの仲間を含む「ウシ目(偶蹄目)」と、
クジラやイルカの仲間を含む「クジラ目」は、別のグループと考えられていました。
しかし、近年の遺伝子解析により同じ仲間だと判り、「鯨偶蹄目」という新しいグループが出来たのです。

祖先が同じでありながらも、進化の過程において水中から陸上に適応し、陸上生活を選択したのが「ウシ目」で、
水中生活を選択したのが「クジラ目」となります。
何故水中に戻ったのかというと、「乾燥に絶えられなかった」「体重が重く動作も鈍くて獲物を捕れなかった」など、
様々な説が考えられています。

水中に返っても失われた器官は戻らないので、クジラは水中でもエラ呼吸ではなく肺呼吸し、母乳で子育てをします。
また水中では必要の無い四肢は、「ヒレ」へと進化していていきました。
でも、ラクダやシカとクジラやイルカが同じ仲間だったとは驚きでした。

もう一つ「偶蹄目」とは、四肢のそれぞれの指に蹄(ひづめ)を持つ動物を指します。
蹄とは、ほ乳類の有蹄類(ゆうているい)が持っている爪の事です。
※有蹄類とは蹄を持つ指が1本の「奇蹄類(ウマ目)」、2本の「偶蹄類(ウシ目)」、
他に「ゾウ類(長鼻目)」を含みます。

何か訳が判らない感じもしますが、簡単に言えば「4本の脚を持つほ乳類」で、「指に爪が有る動物」という事ですね。
その爪が奇数のも居れば偶数のも居るよ、という感じで良いと思います。

補足ですが、蹄は爪といっても人間のそれとは大きく異なります。
主に身体を支え地を蹴るために、大きくて固く、指やかかとは地面に着かない事が多くなります。
イノシシは指が偶数なので「ウシ目」に属します。

イノシシの牙には注意

小難しい事はここで終わりにして、改めてイノシシはどういう動物なのかを判り易くいきましょう。
イノシシの家畜化したものが「ブタ」と言われており、性質は非情に神経質で警戒心の強い動物です。

体長はオスが110cm~180cm位で、メスが100cm~150cm位です。
肩高(体高でも良いと思います)は60cm~90cmとなり、尾の長さは30cm~40cm位です。
体重は80kg~190kgと幅広く、海外では300kgオーバーや、
日本でも250kg以上も、たまに捕獲されています。

全身茶褐色から黒褐色の剛毛で覆われていて、指は前後共に4本有り2本の蹄を持ちます。
オスメス共に牙状の歯が有り、オスの牙は特に長くゆるく曲がっています。
その牙は鋭いものも有りますが、攻撃用というよりは護身用といった物です。
ですが、人間に対しては凶器にもなり得るので、厳重な注意が必要ですよ。

神経質で警戒心が強いと言われるように、不用意にイノシシのねぐらなどに人間が近づくと、
襲われる事も多いとの事で、大人の太ももあたりに牙が来るそうです。
もし牙でしゃくり上げられた場合、太ももの大腿動脈を切られ、失血死する場合が多いとの事です。

牙に当らなかったとしても、イノシシの成獣は70kg以上の体重が有り、
加えて時速45km位で走れる能力も有るので、全力攻撃ではね飛ばされる危険性が有るからです。
これは怖過ぎますので、近づくのは避けた方が賢明です。
時速45kmというと、人類の100m走世界記録のタイムより早いと言うことですので、
逃げ切る事は難しいと思われます。

ただ「猪突猛進」と言う言葉が有る様に、縦への突進は素早いものが有りますが、
横の動きには縦ほどの素早さはないので、斜めとか横によける感じが良いと思います。
何にしてもイノシシを見かけたら、近づかない事が賢明だという事ではないでしょうかね。

野生下のイノシシの寿命は、長くて10年といわれていますので、
犬の平均寿命と同じくらいか、やや短いかと思われます。

繁殖期は12月頃から約2ヶ月間続き、巣は窪地に落ち葉などを敷いて作り、
出産前や冬期は枯れ葉などで屋根の有る巣を作る、知恵も兼ね添えています。

通常4月から5月頃、年1回平均4~5頭ほどの子を出産し、
生まれた子供は保護色のように「縦縞模様」があり、その姿がウリに似ている事から
「うりんぼ」「うりぼう(瓜坊)」とも呼ばれたりします。
「うりぼう」は、どこかで聞いた事も有るのではないでしょうかね。

イノシシの生息地域と種類は?

イノシシは世界中に居る?

ヨーロッパやアジアを中心に世界中でイノシシは生息し、種類はその国にもより多々有りますが、
ここでは日本に限り解説していきます。

日本では北海道、東北の一部、北陸の一部を除き生息していて、
大きく「ニホンイノシシ」と「リュウキュウイノシシ」の2種類に分かれます。

「ニホンイノシシ」は、本州、四国、九州とその周辺のいくつかの島に分布し、
足が短く雪が苦手なため、豪雪地帯には存在しないとされてきました。

ですが、福井県の山間部で積雪が2mを超える地域や、長野県の北部の市街地でも度々目撃され、
やはり人的被害も報告されてきました。

九州の離島では、本土や他の島から泳いで渡ったとみられるイノシシが現れ、
農作物の被害が相次いでいると報告もあります。
更に、東北北部でも青森県、秋田県でも数十件の目撃情報が有り、既に定着していると考えられています。

今まで分布しなかった地域でも現れ始め、作物だけではなく人にも危害を加える様になってきた様で、
今後は今まで以上に駆除や対策が求めれらますね。

「リュウキュウイノシシ」は、沖縄を含む南西諸島で生息しているイノシシです。
生態的な特徴はニホンイノシシと同様ですが、生息域が亜熱帯地方のためか、繁殖期が春、秋の2回あり、
各島によって体長、体重も異なり、いずれもニホンイノシシと比較すると小さいのが特徴です。

様々な面でニホンイノシシとの違いがあるので、別種の原始的なイノシシとする見解も有り、
今後検討され、結果別亜種とされる可能性が高いらしいですね。
中には絶滅するおそれのある個体も有り、イノシシといえども保護する重要性も高いと言われています。

一部では厄介者、一部では保護される、
どこか人間の世界と似ていると思うのは考え過ぎでしょうか。

イノシシの餌と天敵

タケノコは大好物?

イノシシの主な餌は「キノコ、タケノコ、ヤマイモ、クリ」など植物ですが、
「ミミズ、カニ、カエル、ヘビ、貝」など動物質も食べるようです。
しかし「9:1」と植物に非情に偏った草食性で、稲やトウモロコシなどの穀物も好物です。

春先のタケノコは大好物らしく、
知り合いの山では、タケノコの時季になるとそこら中に穴が空いているそうです。

犬のように嗅覚が優れていて、地下に潜っているタケノコも簡単に嗅ぎ分け掘り起こして食べるそうですが、
驚くのは、柔らかい先の部分だけを食べて、固い根元付近は残すという、何とも贅沢な食べ方だという事です。
神経質という性格が関係しているのでしょうかね。

これは手入れをしていない山の場合で、タケノコを出荷したりしている場所では、しっかり管理をしています。
その様に人間の姿が見えるような山では、イノシシは警戒して食べには来ません。
イノシシによる被害を低くするには、人間の姿や匂いをちらつかせる方法が良いと思われますね。

というのも、イノシシの天敵といわれるのは事実上「人間だけ」なのです。
これは成獣に限ってですが、オオカミが居た頃は厄介な敵でしたが、今はほぼ絶滅しています。
熊は動く動物を滅多に襲わない習性なので、ある程度安心していられますが、
幼獣の頃は野犬や、カラス、キツネ、大型の猛禽類が大きな敵となります。

また、海外で大型の肉食動物が居る地域は、トラやライオン、ワニ等が大きな敵といわれています。
そういった意味でも日本では、イノシシにとっては居心地の良い地域ともいえるでしょう。

イノシシに遭遇しないためには?もし遭遇したら?

イノシシの方から逃げてもらう

本来神経質で警戒心の強い動物なので、人間の話し声や物音を聞くと、高確率でイノシシの方が逃げて行きます。
バッグやかばんを持っている場合は鈴を付けたり、ある程度大きな声で話しながら歩くなど、
あらかじめ「イノシシに人間が居るぞ」と、存在を知らせる工夫をしてください。

住宅街などでの出没傾向は「ゴミ置き場」や「家庭菜園」などの餌場となる場所が多く、
草むらやヤブも姿を隠せる場所なので、そういった危険性の有る場所を対処する事です。

ゴミ置き場には決められた時間に出す、夜間にはゴミは絶対に出さない、
家庭菜園は柵などでしっかり囲む、草刈を頻繁に行い見通しをよくするなど、
地域全体や各家庭で対策をして、イノシシを寄せ付けない環境を作ってください。

また、小さな子供のイノシシ(瓜坊)でも、可愛いからと餌を与えると居着く場合も有ります。
またそれを覚えていて成獣になってから出没する、
という事もあるそうなので、餌は絶対に与えてはいけません!

出逢ってしまった!

普段の生活ではイノシシに遭遇する確立は低いはずですが、旅行やイベントなどで地方に行った際や、
何らかの状況でイノシシに出逢ってしまった場合の対処法を。

1.「刺激しない事」:もともとイノシシは臆病な動物なので、刺激をしないでください。
大声で騒いだり、棒などを振り回したり、急に走り出したりすると逆効果になり危険です。
ゆっくり、慌てないで後ずさりして距離を取り、物陰に隠れる事です。
もし、傘を持っている場合であれば、傘を広げ身を隠すのも一つの手段です。

2.「状況を見る」:もし、「カチカチ」などの音を出していれば、威嚇音なので近寄らない事です。
またそこら中を走り回っている場合も興奮状態なので、慌てずに距離を取り身を隠してください。

3.「ス-パーのレジ袋は捨てる」:どういう事かというと、イノシシが人里まで来るのは餌を求める場合です。
また以前に人間から餌付けされた記憶が残っていて、という場合もまれに有ります。
そんな時にスーパー帰りなどで袋を持っていると、嗅覚に物を言わせて近づいてくる事も有ります。
その様な状況になったら、レジ袋をすぐさま捨てて、その場から立ち去ってください。

万が一襲って来た場合は、逃れる事は非情に難しいですので、両足は閉じてももをしっかり守る事です。
前述しても有りますが、太ももには大腿動脈が有り、牙をしゃくり上げてそこを傷つけられる場合が多々有ります。
興奮状態が収まるまで身を守る手段を執るしか方法は無いそうです。

まとめますと、出逢わないためにある程度音を出す、話しながら行動する。
万が一出逢ったら、慌てずにイノシシの様子を見て、興奮していなかったらゆっくり視界から消える。
襲ってきそうなら高い場所に逃げ、決して攻撃を仕掛けない。
もし襲ってきたら抵抗せずに急所を守り、攻撃が収まるまで耐える。

遭遇しない事が何よりですが、少しでも知恵を付けておけば、その時に対処出来ると思います。
「触らぬ神に祟りなし」といったところでは無いかとも思いました。


↑画質が悪いですが参考になるかと思います。

余談

或る地方の知り合いが、車で山間部の県道を走っていたところ、
何かが車の横に「ドスン」という様な音をたて、ぶつかったみたいだと。
その時の季節は忘れてしまったのですが、時間帯は深夜ではない夜間でした。
後続車のライトも無かったので、直ぐに路肩に停車して恐る恐る降りたそうです。

持っていた携帯のライトで車を一周して見回したところ、左のドアの横(前か後ろかは忘れました)に、
何かがぶつかった様にへこんだ痕が有ったというのです。
人間でないのは確かだったのですが、その時は結局判らず何かの動物なのか?と思い帰宅したそうです。

後日車を修理に出した後に、その近所でイノシシが頻繁に出没していると聞き、
ぶつかってきたのはイノシシだったのか、と確信めいたと言っていました。

犬や猫、たぬきやハクビシンであれば、死骸となって見つかるはずです。
しかし、その時には周囲にそれらしい物体は無かったと言っていました。
正に「猪突猛進」を地で行った出来事だったのでしょうか。

昔からイノシシを食用として提供する飲食店等が有ります。
現在ではジビエ料理として食す機会も有るかと思いますが、生や充分な加熱をしないで食べると、
E型肝炎ウイルス、腸管出血性大腸菌または寄生虫による食中毒のリスクがあります。
食べる際にはしっかり火を通してください。
意外に臭みも無くて豚肉の様に美味しく頂けますよ。

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